電話機

現代において普及しているスマートフォン等の携帯型無線電話機も電話機の一種だが、本項では、持ち運びしないで運用する電話機(いわゆる「固定電話」)を中心に解説する。

電話機の基本の要素は、音声を電気信号に変換するマイクロフォン(マイク)および電気信号を音声に変換するスピーカーである。他に、着信を知らせる振鈴装置も備える。20世紀なかばに自動交換機が普及するとともに、電話番号を入力する装置も加えられた。

初期の電話機は技術的には多様だった。1890年代には「ロウソク型」と呼ばれる電話機が登場した。20世紀前半までは通話相手を指定するには、まず交換手を呼び出し、交換手に向かって自分の声で相手の番号を言い、局内で手作業で回線を繋いでもらった。電話局の交換手を呼ぶために電話機の箱の側面などに回転式ハンドルがついていた。

20世紀なかばころに交換手を必要としない自動交換機が電話局内で設置されてゆくとともに、各家庭や事務所では回転ダイヤル式の黒電話が普及し一般化した。これは電話番号の数字に相当する穴に指を入れてストッパーのところまで回転させ指を抜くと、回転ダイヤルがバネじかけで元の位置に戻る時にパルス状の信号が発信され電話局内の自動交換機に数字1ケタが伝わり、その動作を電話番号の桁数だけ繰り返すことで自動交換機が指定された電話番号の相手に自動的に繋いでくれる、というものである。回転ダイヤルを回して指を抜くたびに「じーこ」などという音がし、耳に当てた受話器からは「ブツブツブツ...」という断続音(=パルス)が聞こえるものである。

さらに後にプッシュボタンが配置されたトーンダイヤル式の電話機も普及した。これはパルス状の信号の代わりに、ある音程(トーン)の音を(2つ)組み合わせて電話局の自動交換機に伝送することで電話番号の1桁相当の情報を伝える方式であり、耳にあてた受話器からは「ピ・ポ・パ」などという音が聞こえるものである。回転ダイヤル式よりもすばやく電話番号の全桁を入力できるという特徴がある。

近年では、固定電話機についてはナンバーディスプレイ機能を備えたもの、コードレス式のもの、子機を増設できるもの、ファクシミリ機能を備えたもの、等々もあり、それらのいくつかをさまざまに組み合わせた多種多様な電話機も販売されている。

一方で、移動式電話(携帯電話)の開発および普及も進み、サイズや重さが次第に小さくなり、1980年代前半には弁当箱以上のサイズでずっしりと重かったものが1990年代にはポケットに入るサイズで軽くなっていった。携帯電話を所有する人の割合が増えてゆくとともに価格も下がり所有に加速がかかり、ついには携帯電話の台数が固定電話の台数を抜いた。

2009年末時点での電話機の台数は、全世界で60億台弱で、内訳としては固定電話が12億6000万台、携帯電話が46億台という割合になっていた。



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